
掲載先:https://www.ben54.jp/news/1955
令和7年1月31日旭川高裁の判決について、探偵業社のGPS調査に関する取材を受けました。
GPSでの調査というものは、「承諾を得ずに位置情報記録・送信装置を取り付ける」行為ですから、調査の目的を問わず取得した情報はデリケートに扱われるべきです。
また、被調査人の位置情報を依頼者が常時監視する行為はプライバシーの侵害になりますし、調査会社が不貞行為の調査を前提としていても、GPSによって取得した位置情報を依頼者にリアルタイムで伝えるべきではありません。これを勘違いした時にトラブルになると考えています。
探偵業社とはいえ、私人であり特別な公権力や職権がある訳ではありませ。探偵業法の施行目的は不法行為をさせない事が主目的となっています。つまり、調査をするからといって不法行為や脱法行為が許されている訳ではないですし、特別に「許された」組織ではありません。
調査上どうしても必要とされる場合、好き勝手にして良いわけではありませんし、調査過程において立地、相手の行動状況から尾行が困難。もしくは繰り返し必要な時に依頼者様の経済的負担が莫大になる為に必要最低限として設置する事が主目的となります。繰り返しますが、どこで何をしているか、現在何をしているかプライベートな行動を依頼者が把握する為の道具ではありません。
探偵業社はプライバシーを侵害する事が目的ではなく、本当の主目的が何かを考える時期が来ているかもしれませんが、残念ながら正しい考え方や調査について真剣に考え尽くすほどの場所は今はありません。コンプライアンスの認識を持ち情報を正確に扱えない事業者は、依頼者のプライバシーも守れないのではないかと考える次第です。
綺麗ごとを言っても始まりませんし、GPS設置による監視というのは何をしてもよいかという免罪符にはなりませんので秘して調査する為に致し方ない機材という位置づけのまましばらく続くのだと私は思っています。それでも扱うならそれなりに慎重に行うべきでしょう。
探偵業社がおかれている現状は、様々な法律の規制の中でいかに情報を集めてくるか。また、証拠能力について真剣に検討を重ね依頼者に提供し、技術力によっていかにクリアにするかが求められていると思います。年々高度化や難易度が上がっているので、今後はより難しくなっていくでしょう。
この件に関しては議論がまだ少なく、探偵業社に対する一石ではないのかなと考えた次第です。